2011年の最後の記事です。
credit: urbanwoodchuck
不動産業界の方々の多くはご存知かと思いますが、平成23年12月1日に、国土交通省告示により「賃貸住宅管理業者登録制度」が施行されました。
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賃貸住宅管理業者登録制度の趣旨
国土交通省の報道発表資料によると、その制度趣旨は、
- 賃貸住宅は住宅ストックの4分の1以上(約1,340万戸)を占めている。
- そのうち、約8割の所有者が管理会社に管理を委託している。
- よって、多様な国民の居住ニーズに応えるものとして賃貸住宅管理の重要性は高い。
- にもかかわらず、管理に関する法規制やルールはなく、敷金、保証金の返還や契約の更新などの管理業務に係るトラブルは増加している。
- そこで、賃貸住宅の管理業務の適正な運営を確保し、賃貸住宅管理業の健全な発達を図り、もって賃貸住宅の賃借人等の利益の保護に資するため制度を創設する。
ということだそうです。
賃貸住宅管理業とは
本制度における賃貸住宅管理業には、
- 貸主の委託を受けて管理を行う受託管理型
- 転貸の場合の借主として管理を行うサブリース型
があり、これらの管理事務を業として行うものを賃貸住宅管理業と呼んでいます。
- 家賃・敷金等の受領事務
- 契約更新事務
- 契約終了事務
があげられています。
とうことは、賃貸の客付けで業務スタートする弊社の場合も、その業務の一部に「賃貸住宅管理業」が含まれることになると思います。
賃貸住宅管理業者登録制度の概略
この制度は、管理業者が国土交通省の登録簿に登録を受ける規程と、登録業者が遵守を義務付けられる業務処理準則から成っており、その概略は
- 賃貸住宅管理業者は、国土交通省の備える登録簿に登録を受けることができる。
- 登録業者は、業務処理準則(管理対象や契約内容の重要事項を貸主へ説明すること等の一定のルール)を遵守する。
- 登録事業者が業務処理準則に違反した場合などは、勧告や登録抹消等の対象となる。
- 国土交通省は、登録業者名等を記載した登録簿を一般の閲覧に供する
というものです。つまり、登録制度を設け登録業者を公表する一方、登録業者は一定のルールにしたがって管理業務を行わなければならないものとすることで、
- 賃貸管理を依託しようとする者が管理業者を選択する基準として、登録名簿を活用すること。
- 賃貸住宅に入居しようとする者が、賃貸住宅を選択する基準として、登録名簿を活用すること。
- 登録業者が業務処理準則に従って管理業務を行うことで信頼ある業務を行うことで、賃貸住宅管理業が賃貸人・賃借人双方から信頼される産業として発展する事。
を目的としているものです。
登録は任意
本制度は任意の制度なので、登録をするかどうかは自由です。登録していなくても従来どおり管理業を営むことはできます。
登録はほぼ誰でもできる
本制度では、必要な事項を記載した申請書等を提出することにより、基本的に、欠格要件に該当しなければ、経営規模や売上高にかかわらず登録を受けることが可能となっており、法人・個人を問わず登録できることになっているようです。賃貸住宅の個人オーナーも登録は可能です。
登録されていれば優良業者だと言い切れる訳ではないけれど…
上記のように誰でも登録できるため、登録されていれば優良業者だと言い切れる訳ではありません。ただ、業務処理準則に従っていないことが判明した場合は、勧告や登録抹消等の対象になるため、一応、重要事項の説明や書面交付、受領家賃など財産の分別管理を適切に行っているのでは、と推定することはできるでしょう。
ただ、この辺は、実際の運用次第であり、実際に抹消処分などがどれくらい行われるのか等、制度運用実績が積み重ならないとわからないことだろうな、とは思います。
業界団体等で登録に関する説明や、登録のサポートをしているようなので、多くの賃貸管理業者、宅建業者が登録することになるのではないかと思います。状況を見ておきたいと思います。
そのうち全ての業者が登録するようになって登録制度自体は意味がなくなったら、それはそれで緩やかに管理業務ルールを定着させようとする国土交通省の意図通りになる、ということでしょうか。
登録すると、登録業者であることを掲示する「標章」も配布されるようですので、やはりあるに越した事はないですね。また、国土交通省の定めた業務処理準則にきちんと従って、説明・書面交付などを行う方が、誰にとっても安心だと思いますので、開業と同時に登録しようと思います。
自分が忘れないように記事にしておきます。
皆様よいお年を。
【参考サイト】
国土交通省 ‐ 賃貸管理業について
財団法人日本賃貸住宅管理協会 ‐ 賃貸住宅管理業者登録制度
一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会 ‐ 賃貸住宅管理業者登録制度
不動産ジャパン ‐ 賃貸住宅管理業者登録制度の施行について
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