賃貸に関して、賃料を始めとして諸々の条件を交渉するタイミングですが、一番良いのは入居申込時点のように思います。
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もちろん、入居申込前に交渉をして、交渉が通れば申込をする、というのも方法です。
ただ、その物件が気に入っていて、本音では交渉が通らなくても契約したいな、と考えている借主さんであれば、入居申込をして審査をしてもらうと同時に、交渉内容についても検討してもらうようにするのがベストのように思います。
貸主さんとしては、借りようとしている人がどのような属性・人柄なのか、というのも合わせてどこまで交渉に応じるかを検討できます。申込者の属性などが良ければ、交渉に応じる余地も大きくなると思います。
(もっと良いタイミングがあれば教えて下さい)
時々、入居審査通過後、契約手続きを進めている過程で、「そういえば…」 ということをおっしゃるお客さんもいらっしゃいます。
仲介(客付)の立場から言うと、このタイミングで言いだすのはやめて欲しいというのが本音ではあります。貸主・元付は既存の条件に了承した上で申込をしているという理解ですので、このタイミングで話をすると少なくとも 「ん?」 という感じになります。
そういうことにならないように、申込前に交渉したいことや気になっている点など無いかお客さんに確認をしたり、内見時の様子などで私の方からお客さんに「この点はどうですか?」と確認します。お客さんが強く要望していなくても、「ダメもとで聞いてみましょうか」という感じで私から交渉を提案する場合もあります。もちろん、何もない事もあります。
何か交渉事がある場合、私は申込時に貸主側に伝えるようにしています。「今から申込書をFAXさせて頂きますが、ご相談事項がありまして…」 てな感じです。
それでも、後になって言い出す方はいます。もちろん、「そういえばあそこの不具合は…」 という感じのものであれば別に問題ないのですが、賃貸条件の変更に関する件や、設備の更新に関する件だったりすることがたまにあります。
そういう場合どうするかなんですが、私の場合は一通りのことは貸主側に伝えます。あまりにも非常識なレベルと思われる内容については、私から借主さんに説明して納得してもらった上で貸主側に伝えない場合もありますが、それ以外については「ほぼ通らないな」と思うようなことでも、貸主側に伝えるようにします。
タイミングが悪いと私としても先方に伝えるのは気が重いですし、私が借主だったらこういったタイミングで言いだす事はないと思います。しかし、お客さんの申込までの状況(忙しさ)とか、気持ち(冷静さ)とかはそれぞれなので、タイミングが悪くても出来る限り交渉はしてあげたいと思います。何かひっかかっている事があるなら契約前に解決してしまわなければ、ということも当然あります。また、仮に私のところでその件を潰してしまうことが出来、それでも成約に影響しないとわかっている場合でも、先方に必ず伝えるようにします。やはり客付の立場としては、借主さんの利益を最大にするように動くべきだと思っているからです。
貸主・元付さんと交渉すること自体は普通の事で、私にとってはどちらかというと楽しい仕事です。しかし、タイミングが悪く話が出てくると、伝えることでもしかしたら話が壊れる可能性も皆無ではないと思いますし、貸主・元付の弊社への信頼の問題もありますので、正直楽しくはなくなります。
もちろん 「うまいこと」 伝えるように工夫はします。申込と同時に交渉するなら簡単なことなのに、タイミングが悪いとかなり気を遣います。例えば、借主さんが交渉が通らなくても契約するつもりであっても、タイミング悪く交渉して 「今さらゴチャゴチャ言うなら入居してもらわなくてもいい」 という判断される可能性もゼロではないので、借主さんの真意も良く把握して元付さんにニュアンスをきっちり理解してもらうようにしないといけないと思っています。
賃貸借関係は継続的契約関係なので、貸主・借主間の信頼関係が大切だと思います。同じ主張でも、タイミングや表現の仕方で心証は違います。他の人間関係でもそうですが、最初の話と違うとなった場合は心証が大きく損なわれる場合もあります。
これまで何度か入居審査通過後に、お客さんから新たな要望が出てきた場面がありましたが、今までは何とかうまく処理できました。一度、元付さんからかなり嫌な顔をされて厳しい対応を受けたこともあり、私自身も 「そうだよな」 と思っていたのでお詫びしながらの交渉でしたが、それも何とか妥協点がみつかりまとまりました。多分に元付さんのおかげもありますし、ラッキーもありますね。
さて、まさに今もそういうった件が一つ発生しています。
入居審査を通過して数日経った昨夜、お客さんから急にあれこれと出てきました。申込前に相談した際には全く話題にならなかった部分なのですが…。
よくよく話を聞いてみると、「知り合いの不動産屋さん」 が 「家賃が高すぎる」 とか 「設備のアレとコレはグレードアップしてもらえるはず」 、「色々な点からすると大家がケチなんじゃないか」 「もっと良いものが出るまで待てば?」 など と言っているとのこと。
周辺相場やそのお部屋の条件等から見ても家賃その他は高いどころかリーズナブルな方ですし、設備についても確かにグレードアップすれば嬉しいでしょうが、費用もそれなりになる上にまだ更新したばかり。そんな簡単なものではないです。しかも、お客さんの希望条件はかなり物件を限定するもので、ようやくほぼぴたりとはまる物件に出会えたところなんです。
お客さん自身はとても穏やかで常識的で感じの良い方なのですが、 その 「知り合いの不動産屋さん」 って…。
かなり先の入居予定日に貸主さんが難色を示していたところを無理にOKもらった後だったのも痛いところ。
「知り合いの不動産屋さん」のことに言及するのをぐっとこらえて、「ご要望は先方に伝えます。ただその前に私が現地を細かく再確認してくるので気になる点は今すべて出して下さい。そして明日再度相談しましょう」 ということにして保留にし、今日朝イチで現地に行ってきました。
色々あった話の中から、およそ通りそうにない要望と、通るかもしれない要望を整理し、最優先事項を確認して、何を伝え何を伝えないか、先方への伝え方も含めてお客さんに説明、了承してもらいました。今朝時点では私の言う事をほぼ全面的に信用してくださったようで、「知り合いの不動産屋さん」 の影響は消えている感じ。「がんばりますが、話が通るという約束はできません」 と伝え、「それでいいです。どっちにせよキャンセルするつもりはないのでグリフィンさんに任せます。」と言ってもらいまずは一安心。
すぐに元付さんに連絡しました。
元付さんにも「キャンセル云々という話ではなく、お願い、要望ということ」 と伝えています。申込時点でならともかく、このタイミングなので、キャンセルをちらつかせて交渉するというのは今後の貸主・借主間のことも考えても宜しくなく、率直なやりとりをすべきということでお客さんにも理解してもらいました。
(この辺のところは不動産屋としての経験からの選択ではないので、こういうやり方がベストなのかどうかはわかりません…)
今は返答待ちです。元付さん、想像していたよりも好意的な反応をしてくれて、かなり強く貸主さんにプッシュすると言ってくれました。その後も何度か確認の電話も来たので具体的に対応を相談してくれている様子。期待はしていますがどうなることか。何とかゼロ回答だけは避けて欲しいところです。
長々書いたのですが、実際に今回やっている事はと言えば、
お客さんから電話で要望があり相談 → 私が現地で確認 → お客さんと再度電話で相談 → 元付さんに連絡相談
というだけのことです。でも、住まいに関することは住み始めてからもずっと気になり続ける事でもありますし、入居後のお客さんの納得感ということでは、やはり結構神経を遣うところではあります。
不動産の仕事の交渉についてはまだまだヨチヨチの私ですし、売買仲介などだとより神経を遣う場面が多々ありそうですよね。まだまだわからないこと満載ではありますが、ただやはり交渉は、タイミングと伝え方が一番大事だと思います。結局お金の事での交渉ですから、色々な駆け引きも必要だと思いますが、それもタイミング良くしないと良くない結果になることもあると思います。でも最後は率直さも大事かも知れませんね。それも見極めなのでしょうけれど。
後は、一連の過程の中でどんな事が起りそうなのかということを予想しながら備えられるように、経験を積むしかないのでしょうね。なんかちょっと大げさですが。
今回はまだ返答待ちの状態ですが、気を付けていたつもりでも、これまで以上に申込前にお客さんへの確認をしなくちゃいけないな、などと思った1件でした。
(追記)
交渉まとまりました。 タイミングが良くなかったのに、元付さんが頑張ってくれました。連絡したらお客さんも晴れやかな声になりました。
ほっとしました。
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お客のことばかにした物書きが不愉快。自分は長年やってていろいろわかってます、仕事もできますと思ってるが、きちんとした客からしたらこういう勘違い不動産屋では契約しないし、内心ばかにしちゃう(笑)最近契約が決まり、偶然目にしたサイトだったが、こんなクズが担当じゃなくて良かった。客なめんなよ!
この記事を書いた当時は、まだこの仕事を始めて2年も経っておらず、緊張しながら仕事していました(今もそうですが)。少なくとも自分が仕事に通じてるとは思ってはおらず、お客さんの利益を一番に考えるように動くことだけは肝に銘じていましたが、もちろんたどたどしく一件ずつが恥ずかしいぐらい緊張の連続でした。お客さんをばかにする気持ちは毛頭ありませんでしたが、ご指摘頂いたので、どの辺からそう感じられたのか虚心に記事を読み返しています。