ちょっとしたことですが、気になっています。いわゆるADのこと。
スポンサーリンク
簡単に言うと客付けへの報奨金のような位置付けの「広告料」。「AD」などとも言います。
賃貸の媒介報酬は貸主・借主双方から受取ることのできる額の合計は、賃料の1ヶ月分(税込で1.05倍)と決められています。
但し、国土交通省の報酬告示には、「ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。」とあります。
空室対策として優先して客付してもらいたい貸主と、賃料1ヶ月分や賃料の半分の手数料では苦しい(?)客付業者や、客付業者にプッシュしたい元付業者などの思惑の微妙なバランスの中で、「広告の料金に相当する額」という名目が使われてきたのだと思います。
元付業者のマイソクなどには、「客付業者様へ」の欄に「広告費1ヶ月」とか「AD1」とか「広告の料金に相当する額 賃料の1ヶ月迄相談」などと書かれていたりします。業者間データベースでもATBBなどでは客付業者へのメッセージ欄に載っていたりします。レインズでは不適切な文言として扱われていますが。
例えば、Aという物件にはADが出て、BにはADが出ない、というような時、お客さんには本当はB物件の方が合っているのに、客付業者はAをプッシュするということは大いにありえます。出す側も、もともとはそれを期待してADを出している訳です(他が出しているから出さない訳にいかないだけということもあるでしょう)。お客さんには見えないお金の流れによっておススメ物件が変わる訳です。
あるいは、客付業者が貸主側に「礼金を1ヶ月乗せて、ADもらっていいですか?」なんて言ってくることもあるなんて聞きます。
これらはやはり問題を含んでいます。ミスマッチとか、お客さんが本来払わなくて良いお金を払わされるという問題です。一番の問題はこのお金の流れがお客さんに見えないことです。
最近ある人から、店舗物件の入居申込直前でのとある不動産会社の対応について相談されたのですが、土壇場になって高額な礼金が必要と言われたという話でした。時間をかけて交渉し、この人がいくつかの条件を譲歩しても借りたい、というノリノリな意思を表明したタイミングで、「ミスで抜けてました」という新たな高額礼金登場です。自分ならその場で「んなワケねえだろ、コラっ、なめてんのか!」(失礼)ってことになりそうな場面です。まあ、ホントのホントのところはわからないし、横槍にならないように慎重に、かつ、この人が良く考えられるように応対しておきました。
ただ、名目が何であれ、貸主側のコストは何かの形で借主の負担に転嫁されるのが通常で、例えば礼金が乗ってなければ借主の負担に関係ないのかというと、それはまた別問題だと思います。今日はこの部分を書くのが本題ではないのでこの辺で止めておきますが、お客さんとコストの話をする時には、全てを含めて比較するようにお客さんに言ったり、実際に比較した数字を伝えたりしています。
—————————-
さて、前置きが長くなりましたが、実は今気になっているのはADという存在ではありません。もっとしょうもない話です。
気になっているのは、ADの有無を確かめる方法です…。
マイソクやらATBBの情報やらに、「広告費賃料の1ヶ月」とか載っていれば問題ないのですが、載っていないのに聞いてみると「AD出ますよ」というものも多々あります。「広告費相談」とだけ書いてあるものは通常1ヶ月だと思います、が、広告費のバリエーションには2ヶ月も0.5ヶ月もあるので、曖昧と言えば曖昧です。
なんというか…。これだけ既成事実化しているADという存在、事実上認めてるのがお上の取扱いというか、運用実態なのに、建前だけは崩さないように正式な位置付けには決して昇格させないもんだから、正式なフォーマットには上がって来ないって状態なんじゃないでしょうか。「不適切な表記」とかなんとか言って表記を問題にするなら実態を問題にすべきだし、実態を問題にしないなら「不適切な表記」とか言うのはエクスキューズに過ぎないでしょう。出すなら出す、どれだけ出す、出さないなら出さない(出さないという表記が重要)、って明確にすルールにした方が皆ハッピーではないのでしょうか(ん?客付目線過ぎるのかな。自分が面倒臭いから文句言っているのかも。)。
ちなみに、先日UR賃貸の宅建あっせんについて読んでいたら、1ヶ月+広告料が出るということで、広告料についての基準も明記されていました(注:地域により違うと思います。また広告料を受け取るには広告をしたという資料の提出が必要になっています。)。媒介じゃなく斡旋なので、もちろん法的には違いますし、普通の大家さんとURとの間には大きな違いがあります。でも、これを読んでいて、全てのお金の流れや額の決まり方が全てオープンになっている方がやっぱりいいなあ、なんて思いました。
いっそのこと、お客さんにもわかるように「この物件は客付報奨金が賃料1ヶ月分出ています」とか表示しちゃえば誰にとってもフェアなんじゃないか、と思ってみたり。
ADが出なければ紹介しない訳でもないし、AD出る方を優先するつもりもないです。お客さんに合った物件、お客さんが納得する物件が一番だと思いますし、自分にはもっと良い物件があるのに隠しておくような余裕もありません。そりゃ、これはこのお客さんに合ってるなあ、という物件にADが出る事がわかると、「おっAD出るんだー」なんて思いますよ。それは正直なところです。でもそれで選別するつもりはありません。
しかし、ADが出るのか出ないのかが不明というのは後々のことを考えても気持ち悪いです。契約に至った時、元付と精算できませんし。それにそこがわからないと、今の手持ちがどれくらいの売上見込になるかもわからないですし(まっ、今の私はそんな格好いいこと言うような状況じゃないですが)。
それで、物件確認をする際、ADが出るかどうか必ず確認するようにしています。
前に管理中心にやられている先輩業者さんに聞いたら「客付が電話してくる時の第一声はADでますか?だよ。」と言われていたので、ADの有無を確認するのは普通なんだよな、という風に思ってもいます。
元付さんが「1ヶ月出ますよー」とか「これは出ないですねえ」とか答えてくれることを求めているのですが、最近 「うーん、出ないことにはなっているんですが、大家さんに聞いてみますよ」なんて言われることが時々あります。
ADの有無を聞く = 「ADよこせ」と言っている、みたいなことなんでしょうか…。
「いや、出ないことになっているならそれで結構です。お客さんのご希望が優先なので、ADの有無はご紹介に関係ないです。一応の確認でお聞きしただけなので。」
「あー、でも大家さんに聞いてみますよ。」
「いやいや、そんなことは…。」
「いえ、とりあえず大家さんに交渉してみますよ。」
「は、はあ…。」
私としては、ADが出る設定なのか出ない設定なのかを確認しておきたいだけなんですが。出すなら出す、出さないなら出さない、最初からはっきりしておいてくれればいいんです。
「借主さん次第かなあ。」みたいな答えもあります。
出さなくて済むなら出さない、出さなきゃなんないなら出す、みたいな交渉に含みがある状態ってのはなんともなあ、と思いますが、それが不動産業界っぽいところなのかなと思ってみたり。でも出すつもりのなかったADを、借りそうな属性の良いお客さんがいるからといって、貸主さんの足元を見て引き出すみたいなのはいやだなあ…。
少ない数ですが、今まで客付けしたものは、全部広告費が出ました。それは確かに助かりました。貸主さんが出すと言っているものは有難く頂きます。でも「ADくれ」って言うつもりはないんです。
(※ 実際に広告費を受け取るまで自分がわからなかったので参考までに書きますが、広告費を精算する際、貸主さん宛の広告費の請求書と領収書を発行するパターン、領収書だけパターン、宛名が元付業者(貸主ではありません)宛になるパターンがあり、物件によって違います。お客さんから預かった賃貸借費用を送金する際に相殺して精算する場合も、別途振込や現金で払われる場合もあります。請求書・領収書は「広告宣伝費」として発行しています。広告費ってものが何とも曖昧な存在に思えて、どうやって精算すんのさ、って思ってしまうのも未経験者ならではですね。)
しかし、ADの有無は客付けするかどうかには関係ないです、なんて言っても、「またまたー、んなことないくせにぃ」 みたいに思われてたり、「そんな言い方、かえっていやらしいわー、AD出してくれってはっきり言われた方が気持ちいいわー」なんて思われてるんじゃないかと想像したりも。
微妙…。 しょうもない話ですみません。
ADの確認って、一般にどうしてるんでしょう。
まあ、聞けば済む話なので悩んでるって訳じゃないですし、格好悪いのも平気なのですが、最近ADのことを聞くのが急に恥ずかしくなっています。
ま、「沢山お客さんを付けられるようになってから恥ずかしがれよ」って話ではありますね。
————————-
今日は無駄な動きが多かったです。徒労感が半端ないです。煮詰まっちゃったので、気分を変えようといつもより早く帰ってきましたが、気分も変わらず。それでこの記事を殴り書いていたのですが、またまた長いですねー。まとまりも悪くすみません。
過去にしてきた仕事の経験を振り返っても、名簿があるのにこんなにモノにならないのは初めての経験かも知れません。平均的な成約率なんてわかりませんが、これじゃダメだなと自分で思います。それに、物件を集めるルートを増やさなければ、とつくづく感じているのですが、これについても決め手を見つけられずにいます。
でも、物件を紹介する時は、お客さんが「ああ、丁寧に情報送ってくれるんだなあ。ここに物件探し任せちゃおうかな。」 → 「おっ、これいいじゃん。」 → 内見して「おおっ、マジでいいじゃん!」→ 手続きして「段取りもいいし、わかり易いし、安心じゃん。」 → 契約完了して「あー、いい物件に出逢えたし、いい不動産屋さんだったから気持ちよく新生活始められるなあ。」→入居して「おー、この部屋にして良かったなあ、俺に合ってるわ、最高!」 みたいな流れを常に妄想しております。
このマンガみたいな妄想が疲れの原因かもしれませんが(苦笑)。
頑張ります。
関連記事とスポンサーリンク
スポンサーリンク
早速、ご教授いただき、ありがとうございます。
感謝感激です!
>実際にやり取りをすると表記はないけれどADが出るものは多い
すごくリアリティのある話ですね。
グリフィンさん「Xの部屋、本日内見できますか? ところでこの物件にはADつきますかね?」
元付さん「うーん・・・(本当はADつけたくないけど)、明日までに決めてくれたら、0.5つけますよ」
みたいな生々しい交渉が行われているのでしょうか。
なんだか、大人って感じですね。
不動産業界を勉強している者です。
ADについて調べていたら、たまたま、このサイトにたどりつきました。
非常に興味深い内容で、勉強になりました。
ちなみに首都圏でADのついている賃貸物件は、およそ何割ぐらいでしょうか?
グリフィンさんの印象の範囲内で結構ですので、コメント欄で教えて頂けたら幸いです。
素人学生さん、こんにちは。
お役に立てず申し訳ないのですが、私の開業地は名古屋なので首都圏の賃貸事情については語れません。
参考まで名古屋都市部だと、居住用賃貸でADが出るのは6割ぐらいじゃないでしょうか。広告などの表記でADありがわかるものだけだと3割程度しかないのですが、実際にやり取りをすると表記はないけれどADが出るものは多いです。
ただあくまで私の観測範囲、体感的なもので、実際に物件情報を並べて計算したものではないですよ。どちらかというと弊社での成約実績上や、チェックしている物件情報の範囲ということです。
たぶん地域差は大きい気もしますけどね。
勉強頑張ってください。
テスト送信です
さっき長文を書いてハネ返されたので。失礼。
テイクさん、おはようございます。
コメント、またダメだったのですかー。
メールに返信したんですが、「届かない」って戻ってきちゃいました。前は届いたのに、どうしたんでしょう。
テイクさん、今夜もメール戻ってきちゃいました。
言葉足らずでした。
個人家主の場合は元付の裁量で客付へのADを決めている場合がほとんどだと
思いますが、大手法人家主の場合は元付(管理会社)が法人家主と客付へ出す
ADを相談して決めている場合も有りますね。
でもグリフィンさんの文面での元付の場合は前者だと思われます。
ではおやすみなさい。
テイクさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
ADの決め方、すごく良くわかりました。
こうなのかな、ああなのかな、とモヤモヤしてたのがスッキリしました。
でもこれだと、ADのことを言って来なければ出さない、言って来たら「しょうがない、出すかー」なんてこともあるんでしょうね…。
元付さんとのやりとりがもっと増えれば、各会社の傾向とかわかってくるのかも知れませんね。
とにかく経験を積まなければ。頑張ります。
テイクさん、今後とも宜しくお願いします。
グリフィンさん、こんばんは。先日メールさせて頂いたテイクです。(^-^)
客付にAD出すかどうか決めているのは通常貸主ではなく元付ですよ。
貸主は元付との間で客付した場合のAD総額を決めているだけです。
そのADをどう使って客付するかは元付の裁量で決めています。
需要の多い物件なら「自社で十分客付出来そうだから業者には分かれかAD0.5で出しておくか」とか、きびしい物件だから若しくは動きが悪いからAD1.5とか2出そうとか。
その業者が「貸主に交渉してみます。」と言っているのは
何のことはない、「自社のADを少しわけてやるか、お客いるみたいだし」
という感じです。
「分かれ」と記載されている物件にAD聞くと不機嫌になる業者さんもいますけど。
「分かれって書いてあるだろう!嫌なら客付しなくていいよ」みたいな。
でも何も書いてないならAD聞くのは自然だと思います。
僕らも利益を出すために働いているのですから。
ということで、今日もお互いお疲れ様でした。
おっしゃる通りだと思います。
ADがでるから紹介し、でなければ紹介しないっていうのは、
問題だと思いますが、不動産業者は、AD物件にくいついてきます
ネ!うちもグリフィンさんのスタンスに近いかな、ADは、おまけ
と考えておりますし、お客様がそのところまったく知らないのが
問題ですネ!うちは、先方からADのでる物件は、お客さんから
手数料は、もらいません。お客さんも得だし、物件も決まるし、
それでいいのかななんて考えております。不動産業は、グレ-
ゾ-ンが多すぎですね!たぶんそおゆうスタンスの業者は、かなり
少ないんですが、うちは、少ない業者の一人です。普通に考えたらおかしいことだらけです。そんなんでも20年やってきちゃったから
まんざらこのスタンス間違いではない様な気がします。
グリフィンさんも業界色がだいぶ見えてきたでしょうが、日本では、
そうゆう業界なのでしょう。まわりを見渡してもそんな業者ばかり
ですヨ。そんなんでうちは、同業者よりも他業者の方とのお付き合い
を大事にしております。それでもっているのかもしれませんね。
lclipさん、こんばんは。
ADの出る物件は手数料無料というのは徹底されてますね。
私は当初、AD1ヶ月は手数料無料、それ以外は手数料0.525にするかもしれないと思い、HPに物件登録するときカテゴリー分けをしておいたのですが、実際始めてからは全く使わずです。AD出る物件は手数料無料にするとかだと、現状の手間と成果のバランスを考えると苦しいなあ、と…。
格好悪いですが、全部AD出ないかなあ、という気持ちだってあります。完全に自分の立っている位置からだけの身勝手な思いですね。全部ADが出るとしたら、それは賃料などに転嫁されるでしょうし、私は現状でも総じて賃料は高いと感じているので、それは決して好ましいことではないと思います。
でも、AD出なくても、おススメの物件はやっぱりおススメですし、その方がお客さんが喜ぶなら、ビジネスとしてもそれを勧めるのが正解だとは思っています。それにプラスして、お客さんから頂く報酬に見合った働き、サービスを提供している、と誰に対しても胸を張って言えるような力や自信を早く身に付けたいと思います。
ご自分のスタンスを20年貫いて続けられているというのは素晴らしいですね。私も他業界の方との繋がりを持ちたいな、と最近思い始めていますが、そこまで手がまわりません。本当にゆっくりした歩みですが、地道に頑張りたいと思います。
lclipさん、ありがとうございます。