以前、「抜き」に関する記事を書きました(→仲介手数料無料と「抜き」行為 ‐ 不動産業のあり方を問うテーマを含んでいるかも ‐)。この記事は、このブログの中でも一番読んで頂いている記事で(このブログの趣旨と全然関係ないGoogle search の話題を除いてですが…)、なんとなく「抜き」への関心の高さを感じなくもありません。
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その記事では、何が「抜き」にあたるのかということについて、長々と書いたあげく、「他人の努力にフリーライドすること」が「抜き」であり、正当な儲けではない、という至極当たり前の結論を書きました。
また、物件情報の偏在を支えにするのではなく、媒介業務の内容・質に対して相応の報酬を頂く、つまり、物件を選ぶ前に不動産会社を選ぶ、という時代に変わっていけばいいな、と書きました。業界の外にいるお客さんから、業界内のルール、あるいは媒介業務そのものはどのように見られているのかという観点から、これまた当たり前と言えば当たり前の結論に至りました。
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そう言えば、他の記事(→こちらの記事の4.(1)でちっさい文字で書いてます)で、「会員限定物件」のグレー感についても触れたのですが、これもどちらかというとブラックな事例の方が多い気はします。
まあ、あからさまに「会員登録すればレインズの物件が検索できます」的な訳のわからんものはごく一部だとしても、広告不可物件を自社サイトに会員限定物件として掲載し、会員登録だけで閲覧させる行為は、現状ではやはり「フリーライド」だと言わざるを得ないと思います(売主ではなく業者都合による「広告不可」の問題はさておき)。お客さんににこの物件はどうですか?とひとつひとつ提案するよりも、お客さんに勝手に検索してもらう方が楽だからやることですもん。それにたくさん物件扱ってんだなあーという看板の意味もあるわけですし。それは消費者の誤認を放置するのが前提です。
でも、このパターンは非常に多い。至極まっとうな商売をされているように見える不動産屋さんであっても、この点の扱いは微妙な感じのところも多い。他がやる以上自分もやらざるを得ない、というのが本音なんでしょうか。企業姿勢の点は置いておいても、ものすごく小手先な感じの手法で、持続可能なやり方だとは思えないのですが…。
ただ、こちらの問題には、お客さんからの圧力のようなものを感じなくはありません。飛躍的に物件情報にアクセスできるようになったのに、それでもなお隠された物件がある。業者間では情報が流通しているらしいのに、消費者には公開されない。物件は自分であたりをつけて、仲介業者は自分が選びたいんだよ、というお客さんの声です。信頼できる会社に頼みたいというものから、手数料が少しでも安いところに頼みたい、というものまで、中身は色々だと思いますが。
お客さんの声が背景にあるんだ、ということで会員限定物件について正当化する向きもあるんですが…。お客さんの利益のためにやっていることではなくて、自社の利益のためです。変な言い方ですが、やるなら正当化しないでやったほうがいい。食べるためにやることです。
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少し前に「当サイトには物件情報はありません。物件は他のサイトで探してきて下さい。その物件を伝えてくれれば手数料割引の見積もりを出します。」という堂々たるサイトを発見しました。
普通の客付けパターンもあるのでしょうし、全ての物件について当てはまるわけではないでしょうが、「抜いて欲しいヤツ探してきてくれりゃ俺が抜いて手数料安くしてやるよ」という言葉に見えなくもありません。ある意味堂々たるサイトです。見つけた時はポカンと口が空いちゃいました。でも、実質的にこれに近いものはたくさんあります。「抜いている」体で抜くのか、「抜いてない」体で抜くか、の違いのようにも思えなくもありません。
機会ある時に、何人かの不動産業に携わる方々に「抜き」について質問をしたのですが、実は回答してくださる人によって微妙に答が違います。ルールが明文化されていないので、事細かに「こういうのはOK」「こういうのはNG」「このへんはグレー」とかではなく、結局その会社の企業姿勢が問われる問題だとは思います。
私自身は、頂く報酬の意味を大事にしたいと思います。自分が汗をかいた報酬を頂きたいと思います。
ちなみに、私、「抜き」撲滅を目指す正義の味方と言う訳ではありません。トラブル覚悟で「抜き」をやる業者は、それはそれで何がしかの覚悟があるのかもしれませんし、ビジネスの世界ですから、目に見えるペナルティがないならやっちまえ、ということは激しい競争のある業界なら普通にあることだとも言えます。
ただ自分はやらない、ということです。
「抜き」やすい状況と、「抜き」を待望するようなお客の圧力…。「抜き」は今まで以上に激しさを増し、せめぎ合いやトラブルが次々と起こり、(あってはならないと思いますが)場合によってはお客さんをも巻き込んで、業界内の矛盾をより一層顕在化させるのではないかと思います。
でも、矛盾を乗り越えて業界が前進していくとき、生き残る不動産会社は「抜き」に頼る会社ではないはずだと考えています。
※ 「会員限定物件」というものがどういうものなのかについては、私の勘違いなどもあるかもしれません。それを調べる目的で嘘の会員登録をするのは迷惑行為ですし。なので、私の勘違い等あれば、是非ご指摘頂けると幸いです。
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また生意気なことを書いちゃいました…。
あまり生意気なことを書くのはしばらくやめておこうとなんとなく思っていたのですが、久々に「抜き」に関することを書こうと思ったのは、とある方のブログ記事を読んだからです。
成功されている不動産会社の社長さん(私より若い方です)のブログで、記事自体とてもおもしろく、不動産に関する知識もたくさん掲載されいて、不動産のプロとはこういうものか、といつも読ませて頂いています。今回の記事には、求めていた答えのエッセンスが書かれていたような気がしましたのでリンクをさせて頂きます。
1277) とんでもない不動産業者 (抜き)) - 素人さんの為の不動産学校
1278) 後編 とんでもない不動産業者(抜き) - 素人さんの為の不動産学校
1279) 第3回目 不動産屋の抜きについて・・・。 - 素人さんの為の不動産学校
その中で特に感じるものがあった言葉を下に引用させて頂きます。
“ 私も、買主さんがいると聞いてしまった以上、売主さんの意向を聞かないと・・・・・。本来は、当社単独で取引したいですが、買主がいるわけで・・・・今日の件は、業界のルールの話ですし、所詮、不動産屋のゴタゴタですから・・・w ”
“ 苦しくても、絶対に、他社の物件は抜かない・・・・・そう思いながら、やってきました。 今があるのは、貧しくても苦しくても、プライドを捨てずに頑張ったからだと思います。 ”
まだ生まれてもいない不動産屋の卵ですが、強い想いを秘めて突き進みたいと思います。
あつくるしいまとめですみません。
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あ、そういえば眼鏡変えました。
この前、事務所の貸主さんに「他のテナントさんをあんまり脅さないでくださいね」と冗談で言われ、「わっはっは、そんなわけないじゃないですかー」と笑って答えた私ですが、何気に気にしてました…。
そこで、友人に改まって訊いてみたら、即答で「うん!怖いね。」と言われてしまいました。そこで眼鏡でイメチェンにトライ!
こんなのです。↓
度がすこぶるきついのに、JINSで5,990円です。安過ぎです。
以前の銀ブチちょいトンガリ眼鏡のように怖そうには見えなくても、スケベそうに見えそうで不安です。
IT系とか、カタカナ商売の人に見えそうかな、スカしてる感じに見えるかな、とも思ったのですが、杞憂でした。
「怖い」と「スケベ」、究極の選択です。
それでは。
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はじめまして、宅建の勉強をしているものです。
報酬を双方から貰うのは、利益相反ではないかと思いいろいろ調べていると
このブログにたどり着きました。
前職は弁護士事務所の事務をしていましたので、利益相反とか双方代理という言葉には敏感で、不動産業界の両手という慣習には驚きました。
かといって今の報酬形態だと買主が安く買おうとしても、業者は高く取引したほうが
手数料が上がりますので、買主のメリットは無いように感じます。
いっそのこと料金一律にするくらいしか解決策はない気もします。
ヤマさん、はじめまして。
仲介業者の関心は、両手か片手かという点については非常に強いように思いますが、1件の売買価格が多少減ることについての感心はさほど強くないように思います。売買が成立しなければ手数料はゼロなので、手数料の多少の多寡よりも、成約させることの方が大問題だからなのだと思います。
消費者の利益を考えると、仲介業者は買主(あるいは売主)のエージェント的な存在に変わっていくべきなのかもしれませんが、私自身は、自分の感覚として媒介業務が頂く報酬に見合った中身を持つものたりえるかどうかという点、あるいは媒介業務という「サービス」に是非お金を払いたいと思うような付加価値を持たせることができるのかどうか、という点を生身で感じながら、考えていきたいと思っています。
まずは、売主・買主・貸主・借主の持つニーズ、あるいは不安のようなものを肌で感じて行きたいと思います。
ヤマさん、今後とも宜しくお願いします。
初コメ失礼します。
今年宅建を受験し、不動産業に転職を希望する者です。
「抜く」という行為がわからなかったので、素人さんの為の不動産学校も見させて頂きました。やっぱり誠実に仕事はしないと駄目や思います。
宅建の勉強ではわからなかったことだけに、すごく勉強になりました!
ありがとうございました。
はしもとさん、コメントありがとうございます。
何にしろ、誠実に仕事するというのが基本ですよね。
それとともに、「抜き」が起きやすい環境になっている、ということ自体が、お客さんから不動産会社が何を期待されているのか、ということのヒントのようにも思えます。
私もこれからもっと勉強したいと思います。
また見に来て下さい。