不動産業開業の手続き ‐宅建業免許・協会加入‐

家の中で書初めが行われていますが、BGM が 大音量の Queen です。どんな出来になるのでしょうか。でも、ブログを書くには丁度いいので、フレディのボーカルに乗せてこの記事を書いています(予約投稿中)。

それに、すごく面白くて愛読しているブログ「不動産屋のパートですが、何か?」さんの記事で、このブログを紹介して頂いていることに気付き、テンション急上昇中です。

今回は、不動産業開業の手続きについて、特に宅建業免許の取得と、全宅・全日などの協会への加入について書こうと思います。役所とかネットとかでで調べればわかる内容ばかりなんですが、開業検討中の方には少しは役に立つかと…。それ以外の方には退屈だと思います。長いし…。

We Will Rock You musical

Creative Commons License credit: www.guigo.eu

スポンサーリンク

 宅地建物取引業免許の申請先

宅地建物取引業を営もうとする者は、宅地建物取引業法の規定により、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けることが必要です。どちらの免許になるかは、次の通りです。

事務所を2ヶ所以上設置しかつその事務所が2以上の都道府県に所在する場合
⇒ 国土交通大臣免許

事務所が1つの都道府県内だけにある場合
⇒ 都道府県知事免許

申請書のあて先はそれぞれ、主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局長等、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に分かれますが、免許申請書類の提出先はいずれも主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁です。

 

宅地建物取引業の免許番号

宅地建物取引業の免許番号は、不動産広告などに必ず記載されているので、業界の方でなくても見たことがあると思います。

免許番号は「□□□□□免許(☆)第○○○○○号」などとなっていますが、これは3つの部分から成っており、

  • 県知事免許・国土交通大臣免許の別(□□□□□の部分)
  • 免許更新回数(☆の数字)※免許は5年ごと(平成8年3月以前は3年ごと)に更新
  • 番号(○○○○○の部分)

を意味しています。

ネット上などで、「信頼できる不動産会社の選び方」などとして、更新回数を問題にしている場合があります。多くは、「更新回数が多いということは営業歴が長いので経験が豊富で良い」という感じで書かれています。もちろん当たっていることもあると思いますが、そんなことで信用したりするのはリスキーだと思います。なぜなら、歴史のある会社をだれかが丸ごと買うことだってありますから。私が以前勤めていた会社のビル内に、歴史のある会社(これは建築系ですが)が入っていましたが、ヤバイ資本が入って中身総入れ換えになり、いきなり雰囲気が変わってしまいました(もちろんヤバイほうに)。まあそれはごく稀でしょうが、不動産業に限らず古いほうがいいに決まってるとは言えないんじゃないでしょうか(新規参入するから言ってるってこともありますが)。

本気で調べるなら宅地建物取引業者名簿を調べる、中でも行政処分情報をチェックするという方法もありです。尚、ネットでも調べられる「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」なんていうのもあるみたいです(「ネガティブ情報等検索システム」という名称にはかなり魅かれました。意味が違いますが、Googleの検索オプションとかで「ネガティブ検索」というのがあると面白いですね。私の名前で検索かけられるのはイヤですが。)。

これらの情報は参考にはなるでしょうが、これだけで信用するかどうか決めるのは危険だと思います。結局のところ、信頼できる人からの口コミ等が一番かもしれません。弊社も「あそこなら絶対信用できる」と言われる不動産会社を目指します、上辺だけでなく。

また、薄くでも長く不動産屋と継続的なつながりを持つ機会があるといいんでしょうね(この辺は不動産屋側の課題だと思います)。

話がそれました。元に戻します。

 

宅地建物取引業免許の申請に必要な事など

宅地建物取引業免許の申請書類は、国土交通省のHPの他、各県HPや全宅・全日等の協会HP等からもダウンロード可能です。

免許申請に必要な事項の概略を以下に記します。

  1. 免許は個人、法人いずれでも受けることができます。
    ※免許は本人以外に譲渡することはできないので、個人事業から法人に切り替える場合には免許取り直しとなります。
  2. 法人の場合は、商業登記簿の目的欄に宅地建物取引業を営む旨の登記がされていることが必要です。例えば「宅地建物取引業」「不動産の売買、賃貸、仲介及び管理」などの記載です。既存法人の場合で定款にその記載が無い場合は、定款を変更して登記しなければなりません(弊社はそうです。すぐには営まない事業も念のためいくつか定款の目的に入れていたのに、不動産業は全く想定外だったのです。)。
  3. 免許の審査について主なものは、事務所に関するものと専任の取引主任者に関するものです(欠格事由に該当しないことなどもろもろは、ここでは割愛します)。
    取引主任者については、一つの事務所において業務に従事する者5名につき1名以上の割合で設置しなければなりません。弊社の場合、私が取引主任者として設置します。
    同一法人内で他の事業を行っていて、専任の取引主任者がそれに関する仕事を兼務している場合は、兼務する場所が宅建業と同一場所である場合のみ「専任」と認められるようです。

事務所については次に改めて書きます。

 

宅地建物取引業免許を取得する要件となる事務所について

宅地建物取引業免許がを受けるためには、事務所は継続的に業務を行うことができる施設である必要があります。また、独立性が保たれている必要もあります。さらに、登記できないような簡易建築物を事務所とすることもできません。

例えば、テント張りやホテルの一室、仮設建築物等は不可です。

また、一つの部屋を他の者と共同で使用している場合も原則不可です。

個人であったり、小規模法人で自宅で本店登記をしているような場合、自宅を宅地建物取引業の事務所として開業できないか、と考える人は少なくないと思います。また、既存法人の場合で現在の事務所をそのまま使おうと思う場合もありますね。

事務所と認められるかどうかで問題になりそうなパターンは

    • 戸建て住宅の一部を事務所とする場合
      他の部屋とは壁等で間仕切りされて、内部が事務所としての形態を整えており、事務所としてのみ使用することが必要です。ネット上では、住居部分と事務所部分の出入口もそれぞれ独立していないといけない、と良く書かれていますが、都道府県の説明文書にはそこまで書いてないので(私が発見していないだけかも)、その辺の審査基準は直接確認したほうが良いと思います。
    • 同一フロアーに他の法人等と同居している場合
      この場合、他の法人等と、各々出入口が別にあること、他の法人等と、各々相互に独立しており、他の法人等を通ることなく業務ができること、他の法人等との間は、パーテーション等の固定式間仕切りがあること、が必要です。

免許申請書類に添付する事務所の形態について説明する書類があるのですが、その内容によっては、県等が現地で確認をする場合があるそうです。

マンションが自宅である場合はどうも不可能なようです。また、多くの居住用マンションでは、規約で「居住用専用」としている場合が多いので、後々トラブルになる可能性もあり要注意です。

私は、不動産業の開業地を選定中で、そこに新たに事務所を設けようと考えています。事業を不動産業に一旦集中させますし、経費の問題からも、新しい事務所に一本化し、そちらに所在地移転の変更登記(目的変更も同時にして)もする予定です。上記の事務所要件が問題になることはないと思いますが、物件探しに苦労しそうな予感です。

ちなみに、登記手続きは全て自分でします。経費的余裕があるなら、司法書士に依頼するのが楽でしょうが、登記手続きはそう難しいものではないので(わからないことは登記官に訊けば結構親切に教えてくれます)、自分でやります。少し手間はかかりますけど、節約できるところは少しでも節約しないと。

宅地建物取引業免許申請時に必要な提出書類(例)

提出書類の例を列記しておきます。都道府県で異なる部分があるかもしれませんので、確認してください。また、免許更新時に必要なものは除いてあります。

(1) 申請書
(2) 経歴書
(3) 誓約書
(4) 専任の取引主任者設置証明書(*1)
(5) 相談役及び顧問(該当しない場合「該当なし」と記載)
(6) 株主又は出資者
(7) 事務所を使用する権原に関する書面(*2)
(8) 略歴書
(9) 身分証明書
(10) 登記されていないことの証明書
(11) 資産に関する調書(個人申請の場合にのみ)
(12) 住民票(個人申請の場合にのみ)
(13) 宅建業に従事する者の名簿
(14) 専任取引主任者の顔写真貼付用紙
(15) 法人の履歴事項全部証明書(法人申請のみ)
(16) 印鑑証明書
(17) 納税証明書
(18) 決算書(法人のみ必要直近1年分)
(19) 事務所付近の地図(*2)
(20) 事務所の写真(*2)
(21) 事務所の平面図(*2)
(23) 役員等カード

*1 宅地建物取引主任者証の交付を受けるのが先になります。
*2 事務所の整備(賃貸借契約 (あるいは購入)、事務所設備・什器の配置等)が前提になります。

免許申請時に登録免許税の納付が必要です(現時点での額です)。

      • 国土交通大臣免許の場合 9万円
      • 県知事免許の場合 3万3千円

 

申請から免許通知受領までの期間

国土交通大臣免許 約100日
都道府県知事免許 約40日 (都道府県により異なる)

やっぱり長くかかりますね。でも、これより早い場合もあるんでしょうね…(期待を込めて)。

 

保証協会への加入

宅建業免許の通知を受領しても、直ちに営業を開始できるわけではありません。宅建業法で、「営業保証金」の供託をしないと営業を開始できないことになっているからです。

営業保証金の額は、主たる事務所に関して1000万円、従たる事務所に関して500万円(事務所ごと)です。

但し、宅地建物取引業保証協会に加入し、「弁済業務保証金分担金」を保証協会に納めると、この供託は免除されます。

弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所に関して60万円、従たる事務所に関して30万円(事務所ごと)です。

さて、多くの場合、その金額面からも保証協会加入を選択するのが通常かと思いますが、そのための経費は上記の弁済業務保証金分担金だけではありません。

保証協会に加入するには、業界の団体に加入する事が条件になっているため、それらへの入会金等の費用が別途必要になります。選択肢は2つで、以下に述べます。

 

宅地建物取引業協会と全日本不動産協会

業界団体には「全国宅地建物取引業協会連合会」(全宅連)と「全日本不動産協会」(全日)があります。都道府県免許の場合、多くはこれらの各都道府県支部に入会することになります。

宅建協会はハトマーク、不動産協会はうさぎマークで知られています。主な活動内容に違いはありません。会員数は全宅連が約10万、全日が約2万4千、だそうです。

保証協会は、全宅連の場合は全国宅地建物取引業保証協会、全日の場合は不動産保証協会に加入することになります。

どちらを選ぶかについても、ネット上で色々まことしやかな事が言われています。会員が多いほうが人脈を作りやすいとか、少ない方が古い体質の先輩業者が幅をきかせすぎてないとか、意外と業界の中では初対面のとき「全宅?全日?」とどちらの会員かを確認するのが普通だとか、歴史的に所属する会員のカラーが違うとか。
でも、あまり鵜呑みにできない気がします。もちろん、これらの団体に頼って色々教えてもらおうと思っていますし、研修などにも参加しようと思っています。人脈も作りたいですし。

本当はハトが好きか、うさぎが好きかで選んでもいいのでは、ぐらいに思います。動物としてはハトよりうさぎの方が好きかなあ。あの羽をばさばさーってするのがちょっと苦手なので。でも、ロゴマークのデザインがハトマークの方が好きなので(うさぎマークの色、日焼けしちゃった?って感じが…。ごめんなさい。)ハトマークにしようかな、そんな感じです。

ただ、入会費用などが異なりますし、全宅連の場合はその中でも都道府県支部によっても微妙に金額が違うようです。単純に費用の点で選択する方もいらっしゃるようですし、何ら問題はないと思います。

さて、その費用総額なんですが、上述の弁済業務保証金分担金の60万円を含め、約170万円程度かかりそうです。

参考として、ある県の宅建協会でかかる費用について下に書いておきます。

スポンサーリンク

  • 宅建協会入会金    800,000円
  • 宅建協会店頭看板代   3,000円
  • 宅建協会会費(年額)   54,000円
  • 保証協会入会金    200,000円
  • 保証協会弁済業務保証金分担金  600,000円
  • 保証協会会費(年額)   6,000円
  • 不動産総合コース申込金   10,000円

合計              1,673,000円

※ 上記は代表者が専任の取引主任者を兼ねる場合です。それ以外の場合、専任の取引主任者の準会員入会金200,000円と会費(年額)24,000円が別途必要です。

(注)加入する団体、都道府県支部によって金額は異なります。

尚、加入の時期は、宅建業免許申請したら加入する、というのが最も早いタイミングのようです。開業の相談窓口があるので、加入申請する前からコンタクトは取ろうと思っています。

 

政治連盟について

さて、上記の業界団体に加入する際、通常は「不動産政治連盟」という政治団体に代表者個人名義で同時加入するのが通常らしいです。まだ詳しくは調べていないのですが、加入は「任意」、入会金は200,000円程度ということです。多くの場合自動的的に加入になっていて、その後年会費なども徴収されるようです。

各協会の入会案内のページには、政治連盟加入についての説明が掲載されている場合とされていない場合があります。支部により異なります。掲載されている場合は「任意」と明記されています。掲載されていない場合は、どのタイミングで案内されるんでしょうか。

まあ、業界団体にありがちな古い仕組みではありますが、営業保証金の供託を選ばない限り協会加入しないと開業できないわけですから、もちろん「強制」できる性質のものではありません(日本国憲法19条 思想・良心の自由)。とはいえ、法で保障されている権利も、経済的強制という事実上の強制の下ではかすんでしまうのがこの世の常。意外と一筋縄ではいかないこともあるのでしょう。

しかし、鬱陶しいですね。どこもかしこもこんなものばかりはびこってる。いつまで続けるんでしょうか。

政治的な立場に中立など存在しませんから、政治連盟も一定の政治的立場に立っています(ここでは詳しく書きませんが)。その立場が何であれ、不動産業を開業したいなら入会しなきゃね、という性質のものではありません。

私自身は加入をお断りします。

業界に入ると同時に先輩方ともめたくはありませんし、不動産業に賭けていますから他のことはどうでも、という考えだってあるんでしょうが、「些細な浮世の常」みたいな話でも、私にとっては「魂を売るかどうか」に関わる問題に思えます。

恐らく私が大袈裟にとらえすぎなんですよね。事実上の強制もないですよね。せいぜい交通安全協会レベルですよね(んなわけないか…)。誰か教えて下さい。

ちなみに協会加入の際に会員2名の推薦が必要なようなのですが、協会の役員さんとかがなってくれることも多いそうです。政治連盟加入を断っても推薦人になってくれますかね。もし、なってもらえなかったら、仕方がありません、自力で探します。どうせ人脈作んなきゃいけないんだから。

当然私がどうするかという考えなので、他の方がどうこうというつもりはありません。今のところは。だって新参者にすらなってませんものね。

 

宅地建物取引業の営業開始

営業保証金の供託をした場合は自ら都道府県に届出をする必要がありますが、保証協会に加入した場合は、保証協会が事務を行うので県への届出は不要です。

尚、宅地建物取引業の免許証は、保証協会加入の場合、保証協会を経由して交付される県もあるようです。異なる場合もあるようなので各都道府県について調べて下さい。

免許証を受領したら、晴れて営業開始できます。

 

今日はお役所的なページになる予定でしたが、最後の方は個人的見解が多くちょっと外れてしまいました。軽く流して下さい。

※手続き等に関する正確なところは、ご自身でも都道府県等に問い合わせて調べて下さいませ。

 

関連記事とスポンサーリンク


関連しているかもしれない記事

griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

2 thoughts to “不動産業開業の手続き ‐宅建業免許・協会加入‐”

    1. あまくださん、こんにちは。

      実はですね…、結論から言うと加盟してしまいました。

      これを書いているときは威勢が良かったんですが…。

      最初、協会事務方と話している時に、加盟しないと協会に入れないぐらい言われたものの固辞しました。イヤな顔というか困った顔はされたもののその場はそれで通ったんですが。

      その後、推薦人2名の方が出席しての協会加盟の審査があった後、推薦人のうちの一人から、強く言われてというか懇願されてしまい、その方の立場というかメンツを考慮して入ってしまいました。

      個人的にはすごくイヤだったんですが、知らない土地で飛び込みでお願いして親切に引き受けてくださった推薦人の方のことを優先しました。審査もあった後でしたし…。

      入会金はともかく会費は微々たるものですが、気持ちの問題なので、数年後には退会しようと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スパム防止のため下の式の空欄に答えの数字を入力してください。 *