平成27年度 宅地建物取引士の受験申込が始まります。インターネット申込みは平成27年7月1日(水)9時30分から7月15日(水)21時59分まで、郵送申込は平成27年7月1日(水)から7月31日(金)まで(簡易書留、期間中の消印要)。
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※ 宅建試験の詳細は必ずご自分で確かめてくださいね。(参照: 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験の申込み)
私が受験した際は、インターネットで申込みしました。希望の試験会場を指定できる(先着順)ので、その場で申込みが済むネットがいいなあ、と思ったからです。まあ、この辺は好みの問題だと思いますが。
目次
1. 宅地建物取引士になって試験は難化するのか。
最近、何人かの人が「今年の試験、難しくなりますし…。」と言っているところを聞きました。
例えば、うちに出入りしている若い女性の営業さん。去年受験してダメだったのですが、今年の受験をためらっているようでした。どうしても宅建を取らなければいけないわけではないようですが、聞けば「今年は宅建士になって試験が難しくなるっていうから、去年より勉強しなきゃいけないですよね。それはちょっと…。」みたいなことを言っていました。
確かに今年は「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に名称変更になって初の試験。一部では「士業」と呼びたがっている人もいるようで、その適否はともかくとして、なんとなく「難しくなるのでは?」と思うのも無理はないかも知れません。昨年の本試験前後に、各予備校が「来年は難しくなる」なんてことを言いまくっていた気もしますし。
しかし、本当に難易度が高くなるんでしょうか。
2. 宅地建物取引士になって変わったこと。
宅地建物取引士への変更は、宅建業法の改正(平成27年4月1日施行)として行われたわけですが、その改正内容は以下のようなものです。
1.「宅地建物取引主任者」の改称
「宅地建物取引主任者」の名称を「宅地建物取引士」に改称します。2.宅地建物取引士の業務原則の明文化
宅地建物取引士が取引の専門家として行う業務に係る一般的な責務規定として、購入者等の利益の保護はもとより、円滑な宅地建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に業務を執行するとともに、取引関係者との連携に努めなければならないこととしています。3.信用失墜行為の禁止
宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないこととしています。4.宅地建物取引業に従事する者の資質向上
宅地建物取引士に限らず、広く宅地建物取引業に従事する一般従業員への教育規定として、宅地建物取引業者に対する従業員の教育義務規定を設け、広く業界全体について従事者資質の底上げを確保することとしています。5.暴力団排除条項の追加
宅地建物取引業の免許及び宅地建物取引士の登録にあたっての欠格要件として、暴力団員等であることを追加し、適正な宅地建物取引業の運営を確保することとしています。
怒られそうですが、当たり前のことを明文化したに過ぎないじゃん、という気がしなくもありません…。
上記の変更は、宅建試験を受験する方は知っておいた方が良いとは思うのですが、実務の現場で一体何が変わるのか、というと特に何も…。
3. 既存の宅地建物取引士(今まで主任者と呼ばれていた人々)への影響
あ、そうそう、法定講習というのがありますが、それは変更になりました。法定講習とは宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者) が5年に1度資格更新のため受講を義務づけられている講習です。これが取引士への変更と同時(平成27年4月1日)から変更になっています。
変更の主な内容は、取引士への名称変更以外は、
● 講習の科目に「宅地建物取引士の使命と役割に関する事項」を加えるとともに、法令の改正等の要点を学ぶ範囲を、「おおむね過去3年間」から「おおむね過去5年間」に改める。
● 講習の時間を「おおむね5時間」を「おおむね6時間」に改める。
というものです。
ほとんど変わらないじゃないですか…。
実際、知り合いの業者さんで最近法定講習を受講してきた人たちと話してみると、時間が増えたこと自体気づいていなかった人もいましたよ…。まあ、5年前のことなんか覚えてないでしょうけど。
それから余談ですが、取引士証を見せてもらったら、主任者証時代とほぼ変わらない見た目です。
結局、既存の宅地建物取引主任者にとっては、今回の改正による影響はほとんどないと言えるんじゃないでしょうか(もしあったら凄い騒ぎになりそうですね)。
宅建士の能力を上げるとか(それは必要でしょうけど)、宅建士のステータスを上げるとか言ってみたところで、ものすごい数の既存の宅建士はほぼ何も変わらないわけです(変えようもない…)。ですから、今後の宅建士試験の難易度を上げたところでほとんど意味がないんじゃないかなあ、と思います。
それは試験を実施する側もわかっているでしょうし、急に難易度上げるかなあ、ないでしょ、と思います。
4. 宅建士の数を調整する?
宅建士が供給過多だという話は聞きません。資格者は無茶苦茶たくさんいますが。
一応、宅建士にしかできない業務というのはありますが(重要事項の説明、重要事項説明書への記名・押印、37条書面への記名・押印)、当然これらの業務だけで食っていくことは不可能ですので、宅建士の供給が多すぎて既存業者の事業を圧迫するということは考えられません。むしろ、5人に1人の設置義務などもあり、宅建士の供給が減るのは好ましくないと考える方が多いのでは、と思います。
いずれにせよ、宅建士の数を減らしたいという観点で、試験を難しくしたり合格率を下げたりすることはなさそうです。
5. 難易度は変わらないと思って準備すれば良い。
少なくとも、宅建士になったからといって、「士業」と呼べるような実態の伴った資格に変更するわけではさらさらない、ということは確かです。また、需給調整の観点からの合格者数調整もなさそうです。
出題内容にしても、「覚えれば解ける」という試験の性質を大きく変えるような傾向変化は想定できません。そもそも、「宅建業法」や「法令上の制限」などの出題について、暗記以外が問われる出題をすることがほぼ不可能ですし、今までも受験者が困難を感じてきた「権利関係」分野をこれ以上難しくすることも考えにくいと思います。
とすれば、例年と変わらない、と思って受験申込をし、受験勉強をする、それでいいんじゃないでしょうか。
あくまで私見ですし、お上のやることなのでわからない面もあります。
しかし、少なくとも現時点で試験が変わる根拠はありません。
とすれば、何の根拠もない情報や不安に惑わされて、怖気づいたり、無用な勉強をしようとしたりするよりも、変わらないものだと思って準備をすれば良いだけだろう、と思います。受験者間での条件も同じです。
先に登場した営業さんには、「難しくならないよ、受験しなよ」と言っておきました。それから、「今から勉強しても十分間に合うよ」とも言っておきました。
宅建試験関係の過去の記事はこちらから → ”宅建” カテゴリーの記事
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