不動産ポータルサイトが仲介業務を始めたらどうなる?

色々な意味で不安を禁じ得ないタイトルなのですが、頑張って書いてみます。

By: O Palsson

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1. 不動産ポータルが仲介業をやったら儲かるだろうな、という冗談。

世の中には様々な不動産ポータルサイトがあります。

SUUMO(スーモ)、HOME’S(ホームズ)、athome(アットホーム)から、YAHOO不動産その他一般ポータルサイトの不動産カテゴリーとか、その他新興の諸々のサイト、地域限定のサイトもあり、私の知る限りでも、ここに列挙するのは困難というか面倒くさいです。

多くの場合、売買用のサイトと賃貸用のサイトがあります。

これらのサイト、普通は物件掲載したい不動産会社が、掲載料や問い合わせ課金料金を支払っているわけです。

弊社も開業当初からとあるポータルサイトをを利用しているのですが、契約する際、冗談で

そのうち御社が直接仲介を始めることってないよね?あはっ

「宅建業に進出するってことですか?」

「そう、宅建業免許とって。」

「あはっ、それはないですよ、あはははは」

みたいな会話をした覚えがあります。

興味本位で、また冗談での会話です。

しかし、他業種からやってきた人間からすると、

ここまで集客に不可欠なインフラ化してしまって、これだけ物件情報が集約されちゃってたら、ポータルサイト運営会社が鬼畜になって、宅建免許取って直接仲介しちゃえば儲かるんじゃね?

と単純に思いました。

そこそこのポータル運営会社だと、各地域に営業拠点を持っていてそこそこの営業マンを抱えているわけですし、宅建業免許とって、各営業所に宅地建物取引主任者(宅地建物取引士)おいて運営すれば出来るんじゃないかと。

それに、そもそもポータル会社を不動産会社だと勘違いしているエンドユーザーもそこそこいるわけで、ポータル名を冠した仲介会社が出てきたら、既存の個別の不動産会社よりポータル仲介会社で契約しようと思う人がワサワサ出てくるんでは?

スケールメリットを活かして、手数料を安くするとかも簡単でしょうから、そこでの差別化も簡単ですよね。

2. でも、「そりゃないよ」 という声は聞こえそう。

ただ、「御社の仲介に役立てるために利用してください」と言っ物件集めといて、テメーが仲介するのかよ?

ということで多くの反発もありそうな。

とはいえ、元付としては、客付が登場する前提で物件出していることの方が多いでしょうし、どこが仲介しようと別にいいよ、という話になるかも知れません。

よそに客付させないつもりの物件は、そもそもポータルに出さないか、出してもポータル内の業者間流通には出さないでしょうし、売買でレインズ物件について「商談中」ということで客付け排除する、というのもありますので、こういうのは別なんでしょう。それ以外は客を付けてくれりゃ良いわけですものね。

最初に困るのは、あまり大くないところはもちろん、大手客付専業でポータルに多額の広告宣伝費をつぎこんで、掲載占有率を上げて集客しているようなところかも知れません。

とはいえ、こういうところはポータルにとっても大口顧客、契約も本社一括契約みたいな感じでしょうから、そうそう無視できない顧客の筆頭なのかも知れませんが。

いずれにせよ、こういった不動産ポータルサイトは、利用する出稿不動産会社の利益になるように媒体をブラッシュアップしていくのがいわば約束になっているわけですから、出稿企業と丸々重複する業務を、当の媒体から自社にユーザーを誘導して行うというのは、「ちょ、ちょっと待ってよ」という話になると思います。

それに、各ポータルも、競合ががっちりいるわけですし、現実的でない面もなくはありません。エンドユーザーに利用してもらうのはもちろんですが、出稿する不動産会社からも支持されないといけないわけで、利用企業が減ってしまうことは直接収益に影響がありますものね。

ただ、いわば販売チャネルを牛耳ってしまえれば、ある意味やりたい放題の可能性もなくはないわけで、例えば、大手小売りがプライベートブランド商品をガンガン増やして棚をドンドン埋めて価格優位で売りまくる、みたいなことと同じようなことを想像してしまう面はあります。

今、大手不動産ポータルがそれをやっていないのは、単純にそれによって失う収益と得られる収益とのバランスを考えてのことだけかも知れません。状況が変わってしまえば、どうとでもなってしまうのかもしれません。

いずれにせよビジネスなので、そりゃないよ、と言っても始まりませんが。

ちなみに、ちょっと話はずれますが、このような例にあてはまりそうで、全然性質の違うサイトもあります。

たとえば、 RealTokyoEstate-東京R不動産-  はそもそも、サイト運営会社が宅建業免許をもともと持っていて、客付仲介することを前提に、他の不動産会社から物件情報の提供を受けているわけで、上に述べているような件とは全く違います(沿革は知らないのですが)。

特徴ある物件を集め、個性的な物件紹介コンテンツにも力を注ぐことで、独自のサイト価値を産みだしているから、ブランド化して拡大したわけですよね。今でこそマネをしたサイトなどは多数出てきていますが、その大元はここなんでしょうから、すごいと思います。

ですから、こういったサイトは、今の話題の埒外です。

3. 気になるサービス - 冗談ではなくなってきたかな

なんでこんな記事を今書いたかというと、最近、とあるポータル運営会社が仲介業務を始めるというニュースを見たから。

私の知る限り、こういうパターンは初めてな気がします(間違っていたらご指摘ください)。

で、そのサービスがこちら。

ポータルサイトはこちら
→ HEYAZINE ヘヤジン – 賃貸マンションを『賢く探せる』賃貸情報ポータルサイト

仲介業務に関してはこちら
→ ネットでのお部屋探しならヘヤジンプライム!東京23区の賃貸物件すべて仲介手数料¥0無料!

これだけだとわかりにくいのでニュースリリースがこちら
イタンジ株式会社、宅地建物取引業免許取得・仲介業務開始のお知らせ
  イタンジ株式会社、仲介手数料無料の無店舗型仲介サービス「ヘヤジンプライム」提供開始のお知らせ

ただし、HEYAZINE ヘヤジン というサイトは、主に元付会社が中心に出稿しているサイトだそうなので(半数以上が、「貸主、代理、専任物件」だそうです、半数か…)、出稿企業としては、まさに誰が客付けしようと構わないってことなのかも知れませんし、上につらつらと書いてきたことにピッタリあてはまるわけではないかも知れませんし、出稿企業にも説明して納得があることなのかも知れませんね。

ニュースリリースに、「多くの実店舗を持たない管理会社・元付け会社から」、自分のところで仲介対応しきれないから何とかしてほしいという多数の相談がありそれに対応する趣旨で仲介を始める、と書いてあります…………、まあ何故始めるかは置いておきましょう…。

私としては、商品・サービスのあり方を決めるのは、第一義的にはエンドユーザーだと思いますし、そのエンドユーザーの意向をくみ取った企業が先導を切って業界に変化をもたらしていくことは当然のことだと思います。

上記サービスリリースに速攻反応している記事もありましたし、
ついにきた!「仲介手数料無料」で不動産業のビジネスモデルをぶっ壊す「ヘヤジンプライム」 : まだ東京で消耗してるの?

ん?

まあ、読んでの感想は皆様におまかせいたしますが、何であれ、エンドユーザーからの感想などを聞いていきたいものです。

しかし、いずれにしても、エンドユーザーにとっては、ポータルを見ても結局は問い合わせしたり来店したりする不動産屋はバラバラ、というよりも、ワンストップで対応してくれる窓口があればありがたいでしょうし、費用も節約できるとなれば、それは「善」に他ならない、と言えなくもないかも知れません。

要は、特に賃貸の客付なんてものは、一定のスケールを持ってやっていかないと商売にならない、という既にある程度明らかになった事実を再認識させられるような出来事かなあ、とも思いますが。

そういえば、売買とかについても、SUUMOが結構前からやっている スーモカウンター あたりもなんだか微妙な気持ちにはなります。

詳しくは良く知らないですが、宅建業として仲介しているわけではないので、上に書いたことに当てはまるわけではないです。

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ただ、仲介はしないようですが、注文住宅やら新築マンションやらの紹介はするようなので、ただ集客のインフラを提供する、という枠を超えて、成約にいたるまでの一角を担っていることは確か。

宅建業として媒介報酬をもらうのか、紹介業として新築屋さんから紹介料をもらうのかの違い大きいですが、不動産物件ポータルとしての揺るぎない地位があってこそのスーモカウンターであることは間違いないです。

ただ、スーモカウンターの場合、推測するに、基本的にスーモカウンターから紹介してもらいたい側との合意の中で行っていることだと思いますので、「物件集めといてテメーで」という件にはあてはまらないと思います。

しかし、この辺だけ見ても、不動産検索の入り口がネットであることからくる業界の変化の中で、ただの集客方法が変わっていくということを超えて、プレイヤー自体を異質なものにしていく可能性はじわりと感じなくもありません。

念のためですが、何が正しいとか間違っているとか、そういう話ではなくて、事実の問題としてそういう流れ自体には抗えないだろうということです。

業界には変わるべき、というかいずれ変わらざるを得ないだろうなあ、と思うような事は確かにあり、それは不動産取引でネット解禁は可か不可か?みたいな小さな入口の議論とかではなく、様々な形で利益を追求する多数の企業のせめぎ合いの中で、新しいモデルが古いモデルを駆逐していくという当たり前の動きの中で行われていくのでしょう。

が、ボケボケしていると、ごっそり持っていかれちゃうかもよ、なんて思った次第です。

他人事じゃありませんが、私の場合、ごっそり持っていかれるようなものはないです(苦笑)。

こういう大仰なことを言ってる場合ではちっともありませんが、気になったので。

それでは。

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

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