重要事項説明書、賃貸借契約書、それから登記情報提供サービス。

仕事の現状報告をすると同じことばかり書いてしまいがちなので、今日は違うことを。

wrong way © by ranma_tim

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現在、常に客付けの立場の弊社ですが、重要事項説明書や契約書については、元付けさんに修正をお願いしたり、自ら作成する機会もあります。

重説・契約書を元付・客付のどちらが作るのかについて、決まりはないようですが、継続して物件を預かっている元付さんは、通常、重説・契約書を用意してくれると思います。

同じ物件を何度も契約しており、その物件に精通しているのですから、元付業者が作った方が合理的だと思います。客付業者が作る場合は、元付業者が情報を準備してくれたり、問合せればすぐにわかることならともかく、室内に入らないとわからないことなどあると面倒です。

(ただ、推測の域を出ないのですが、ガンガン客付している客付専業直営店みたいなところには、契約書と重説の雛形が用意されていて、元付との間でそれを使う合意が出来ているのかな、と思います。いつも客付けしてくれる業者に事前に重説・契約書を送ってあるのかもな、とも思います。頻繁に客付しているならその方が合理的ですね。不動産業務支援システムで、必要事項があらかじめ入力されていて、出力すればよいだけの状態になっているのかも知れません。)

 

それはともかく、元付業者が作ってくれるからと言って、客付がノーチェックはやばいですよね。

そもそも、複数業者が媒介する場合は、それらの業者が共同して責任を負うのですから、チェックするのは当然です。また、実際にお客さんに対面して重説を行うのは、ほとんどの場合客付です。自分が重説する内容を事前にチェックもせず、お客さんの前でただ読み上げるのはどうかと思います(お客としてはそういう重説は何度も受けましたけど…)。客付け業者としては、自分のお客さんである借主にとって、予期しないような不利な条項が入っていないかもチェックすべきだと思います。

居住用の場合は、契約条項の調整余地はほとんど無いに等しいのが実態でしょうが、事業用の場合は貸主・借主間の交渉事が色々あるので、その調整結果が正しく反映されるように元付業者と条項を調整したり、チェックしたりする必要は特に大きいと思います。

 

 

しかし、それとは別に、結構な確率で重説や契約書に間違いが含まれています。

重要事項説明書で体験したものの中から挙げると、

  • 金額の誤り
    単純ミス。さすがに「賃料等授受される金銭」での誤りは見た事がありませんが、最後の「その他」の項目に記載している金額が間違っていたりします。
  • 登記記録添付漏れ
    「登記記録に記録された事項」で「添付全部事項証明書の通り」などと書いてあるのに、添付がないとか。それなら添付の通りなどとせず、直接書いちゃえばいいのに。(余談ですが、ネットの「登記情報提供サービス」でとったものには法的証明力はないのでそれを添付している場合に「添付全部事項証明書」と書くのは間違いだと思います。まあ、重説の責任問題には直接関係しないとは思いますが。小姑みたいですか?)
  • 参照別紙漏れ
    それから、最近の雛形には「契約の解除に関する事項」に反社排除特約条項について記載してあるのですが、そこには「別紙反社会的勢力排除に関する特約条項第3条第1項各号~」とか書かれているのに、別紙がついていないとか。この別紙漏れはすごく多のではないかと思います(というか最初からついていた試しがない)。
  • 登記違い
    違う建物の登記だったり、建物賃貸借なのに土地の登記だったり。
  • 契約書との齟齬
    同じ事項について、用意された契約書と重説の記載(表記の仕方ではなく、実質的内容)が食い違っている。
  • 物件所在地の誤り
    登記違いがあると当然ここも間違っていたりしますが、単独で間違っていたりもします。それから、「番」と「番地」違いなんかはたくさんありそう。

などなど…。

こうやって見ると、ものすごくたくさんの件数をこなしたように見えるかも(笑)。実際は限られた件数です。それなのにこれだけあるということは…。

 

 

他には、重要事項説明書に「契約書第~条の通り」と書くのはダメだろ、と個人的には思います。

 

 

とにかく、重要事項説明書や契約書は、全て一言一句読んでチェックしています。そんなに時間がかかることでもないですし。誤りは指摘し、気になることは質問・確認し、なんかおかしいな、と思ったら自分で調べます。

(新参者なので、今後も頻繁に取引がありそうな業者さんなどに、単なる面倒くさい奴と思われないように工夫してますけど(苦笑))。

 

単なる表記上のミスとして、当事者間で済ます事ができるようなものもあるでしょうが、契約内容に影響するようなものは、何かトラブルが起きると間違いが大きな問題になる可能性もありますよね。

特に登記事項などは、「ん?」と思うことを見つけるとちょっと緊張します。

 

 

何かあった時の問題の大きさは、売買より賃貸の方が小さいように思えますが、そう簡単でもなさそうです。

例えば権利関係に関する調査が間違っていたり、そもそも調査を怠っていたりすると、やばいことも起こると思います。

居住用なら大したことない、というわけではないですが、事業用は特にやばい匂いを感じます。

事業用は内装や設備などに多額の費用をかけることもあり、万一、入居して工事完了して営業開始した途端に出て行かなければならなくなったとしたら、かなりの損害が生じます。

例えば、入居(建物引渡し)前に、建物に仮差押や差押の登記がされていたとしたら?

競落人に対抗できない賃借人は建物を明渡さなければならなくなる可能性が高く、それを知っていればその物件を賃借はしないでしょう。その説明を重説で行っていなかったとしたら、媒介業者は当然責任を負うことになります。

どのタイミングで調査すれば責任を果たしたことになるのか、という問題もあると思います。契約日と入居日にはタイムラグもある訳だし。でも、添付する書類はどうであれ賃貸でも少なくとも契約直前の確認は必要だと思います。中でも入居後500万円とか1,000万円とかの単位で内装工事して開業するような店舗の場合。

半年ぐらい前の登記記録が付いている重説を見た事もあります。面倒なんでしょうけど、半年前の記録なんて意味ないですよね。怖いです。

 

 

他にも気になることはあるんですが、このへんで。

 

 

重要事項説明書とか契約書とかを作っていると、「書類を整える」ということに気が向いてしまいますが、「実際どうなのか」ということが一番大事だと思います。添付されている書類が、「全部事項証明書」だろうが、登記情報提供サービスでとられた登記記録であろうが、添付自体なかろうが(そもそも添付はなくても調査結果が記入されていれば良い)、事実どうだったのか、お客さんが承知しておかなければまずい事実はなかったのか、をきちんと調査することが必要なのですよね。

基本は法務局に出向いて登記事項証明書を取るとしても、何度か登記記録を調査する必要がある際には、ネットで調査できる「登記情報提供サービス」が便利だと思います。法務局で登記事項証明書を取得するより安価でもあります(取得した登記記録に法的証明力はありません)。

ほとんどの宅建業者の方は利用されているのではないかと思います。弊社も法人利用登録しています。

リンク : 登記情報提供サービス

 

 

と、今日はなんだか堅苦しい内容となりましたが、たまにはこんな記事も。

 

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griffin

グリフィンです。不動産業もWordPressも関わるようになってまだわずか。それを差し引いてお読みください。コメントはお気軽にどうぞ。

4 thoughts to “重要事項説明書、賃貸借契約書、それから登記情報提供サービス。”

  1. 不動産の事を色々書いてあるから売買の事かと思ったら案内屋さん(賃貸)でしたか。
    なぜ住宅街の屋根は斜めになってるのか?なぜ角地の土地は斜めに切れているのか?現在の都銀住宅ローンの店頭金利はいくらなのか?不動産の固定資産税額はどうやって決まるのか?
    等、「不動産」のいろはの「い」位は理解しているのでしょうか?
    もしわからないのであれば、同業者として恥ずかしいです。

    私が今まで仕事をしてきた賃貸屋さんは皆知らなかったです。不動産の事を全く知らない賃貸営業マン。あんなのは、不動産屋では無く案内屋です。
    賃貸でも不動産業を名乗るのであれば、ユーザーから見れば不動産の「プロ」なわけですから、いろはの「い」位は勉強して貰いたいものです。
    不動産の事を理解していないのに、不動産業を名乗る。そういう輩がいるから、不動産業は下にみられるんだと思います。

    1. 土竜さん、こんばんは。

      「ユーザーから見れば不動産のプロ」という部分はおっしゃる通りだと思いますし、お客さんに対して責任をもって説明・仲介等できる知識を身につけるのは、どの分野で仕事をするにせよ、当然だと思います。

      ただ、コメントを拝見して思ったのは、不動産業従事者全体を一絡げにして、不動産業全体を良く思わない方がいるように、不動産業界の中にも、賃貸仲介従事者全体を一絡げにして、賃貸仲介業全体を良く思わない方もいらっしゃるのだなあ、ということです。

      私は現在賃貸仲介、かつ客付中心で仕事をしています。キャリアは短いですが、自分の仕事に誇りを持っています。この仕事について、誰にどう言われようと、お客さんに対して責任を持てる仕事を全力でやるだけです。自分の仕事に誇りが持てるかどうかは、他人や他人が貼るレッテルが決めるのではなく、自分自身の想いと実際の行動が決めるのだと思っています。それはどの業界、何の仕事でも同じです。

      私は「自分は特別に良い賃貸仲介業者だ」と言うつもりは毛頭ありません。日本中の賃貸仲介に従事されている方、あるいはこのブログの読者の方の中にも、賃貸仲介の仕事に誇りを持ち、責任ある仕事をされている方はたくさんいらっしゃると思います。近隣の同業者さんの中にも尊敬できる方はいらっしゃいます。

      私は今後、売買もやる予定ですが、今後どう進んで行ったとしても、賃貸仲介の仕事は大事にしていくつもりです。

  2. 早く売買の方が出来るようになると良いですね。売買では、真面目な業者さんが多いので、重説、契約書はしっかりつくります。たまに大手の重説でも、間違ってる事ありますが。

    居住用賃貸は….
    前にもいいましたけど、無茶苦茶です(笑
    居住用賃貸仲介会社は、規制して、数を減らしていかないといけないと思います。

    1. 同業者さんとやりとりしていると、賃貸の世界は流れ作業的に事が進んでいる事が多いのかなあ、と感じます。件数をこなそうとしてそうなる面はあるのでしょうけれど、そんなに手間がかかることでもないと思うのですけどね。

      でも、一部ですがとてもきっちりされている業者さんにも出会いました。老舗の家族経営的な会社ですが、それなりに社員さんもいらっしゃって、訪問した時の応対も皆さん素晴らしかったです。契約作業でも、こちらからの質問や要望を適当に流すことが一切なく、安心感があって、見習いたいなあと思いました。

      最初から事業用賃貸を取扱えたのは幸運だった気がします。気にしなければいけない事も多いですが、それだけに経験値が上がる気がします。それに何より想像していたより楽しいです。

      早く売買を始めたいです。準備が全く進んでませんが…。

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